阿部 高嗣 (あべ こうじ)

 

取材:2012年

写真展しまなみライフ
2012年2月新宿エプサイトにて、びざんにプリントした写真展しまなみライフを開催させていただきました。
内容は、地元瀬戸内海の島で暮らす子どもの写真です。豊かな自然、子どもたちの笑顔、これは地域の宝であり、日本の宝だと思います。
物があふれ、情報があふれると、目の前にある家族の大切ささえ見えなくなってしまいます。
その見えにくくなった宝に少しでも気付いていただきたい、
そういう思いで、写真展しまなみライフを開催させていただきました。
重点を置いたのが、地元の素晴らしさ、そして日本の宝を伝えるということです。
そこで日本の和紙、そして私が生まれ育った四国の阿波紙様の和紙を使わせていただくことにしました。

阿部 高嗣さんの作品
プサイトギャラリーでの「しまなみライフ」展の全景

 

阿波紙の中にもたくさんの種類の和紙があります。
私が注目したのは、耳、そして厚さです。
耳は手漉き和紙独特のもので、紙の周辺が真っすぐではなく、びろびろになった形をしています。
いわゆる昔の宝の地図のような感じです。まさしく今回のテーマにぴったりのような気がしました。
余白が写真を引き立ててくれるように感じます。

阿部 高嗣さんの作品
阿部さんのお子さんを撮影した作品、「麦わらの二人」

そして厚さは厚いものを選びました。
せっかく手漉き和紙にプリントするなら耳をご覧いただきたい。
それには額装してマットをかぶせると、耳が見えなくなるので、パネル形式で紙を前面に出したいと考えました。
これは好みの問題だと思います。
また和紙の場合、特にびざんのような厚い紙を使うと、額装なし、裏打ちなし、という展示方法も考えられます。
その場合、アクリルがないので、汚れやキズなどには弱いのですが、本物の質感がダイレクトに伝わると思います。
紙は高価ですが、額、裏打ちのことを考えると少しはお値打ちに感じるかもしれません。

阿部 高嗣さんの作品
タイトル「露天風呂」

私はまず、A4のびざんにプリントしてみました。
色がどう、黒の締りがどう、そういうことは一切関係なく、全体の風合いに惚れました。
一枚プリントして、自分の写真にはこれしかない、確信しました。
子どもの写真がまるで、いわさきちひろさんの絵画のようなやわらかい雰囲気になります。
ちひろさんのファンである私は、一気にこの紙にくぎ付けになりました。
撮影データから、びざんにやさしく命を吹き込むという感じです。

阿部 高嗣さんの作品
タイトル「弟の背中」

そこでいろいろな発見がありました。
まず、手漉き和紙ですので、一枚一枚大きさが少しずつ違います。
そのためプリントする前に一枚一枚大きさを測って、そのデータを入力して、真ん中にプリントするようにしました。
また、光に紙をかざしてみるとわかりますが、紙の繊維は均一ではありません。
それが写真を面白くする要因になります。
絵柄に合わせて、上下を考えます。
場合によっては、この紙は、あの絵柄に使おう、という場合もあります。
例えば、顔の部分は、この繊維の箇所は避けたい、空の部分に、この繊維を合わせて厚みを出したい。
などなど、普通の写真用紙ではできないことができます。

阿部 高嗣さんの作品
タイトル「森の中へ」

実際、ご覧いただいた多くの方から、全体の雰囲気、子どもの写真との相性を認めていただきました。
数十年という時間を一気にさかのぼり、幼少時代へタイムスリップし、
昔を懐かしんでくださった方も数多くいらっしゃいます。
素晴らしい紙を作ってくださっている阿波紙の皆様に感謝します。

これからも目の前にある宝を伝えるためにも、阿波紙様の和紙を使わせていただきたいと思います。
2012年現在、愛媛県今治市しまなみ海道、来島(くるしま)海峡サービスエリアのレストランに
びざんにプリントした作品を展示させていただいています。
近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

阿部 高嗣さんの作品
来島(くるしま)海峡サービスエリアのレストランでギャラリー展示されています

アワガミファクトリーから

私が阿部さんの作品をはじめて観たとき、自分が子供だったころのことを思い出し、
懐かしく、心がジーンとして涙が出そうになりました。
くすっと笑ったり、懐かしかったり、涙ぐんだり、、、いろいろなあたたかい感情があふれてくる阿部さんの作品。
「びざんにやさしく命を吹き込む」という阿部さんの言葉どおり、
こどもたちが和紙に命を吹き込んでくれたんだな、、、と思いました。

公式サイトはこちら
http://www.shimanamiphoto.com

アワガミファクトリーオンラインストア担当/山岡陽子

 

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